2013年3月7日木曜日

Bullshit!! Hard problem!!


さて、個人的に大好きなHGame,猫撫ディストーションについて書いていきたいと思います。
この作品を理解するにあたって、概ね二つの事を知っておく必要があります。

まずは「シュレディンガーの猫」について。
少しざっくりとした説明なので誤謬が生じるかもしれませんが、シュレディンガーの猫とはオーストリアの物理学者エルヴィン・シュレーディンガーが提唱した思考実験です。
まず、箱を用意してその中に猫を入れます。そしてその箱の中に放射性物質が発生する装置を入れておき、1時間放置します。この時1時間で放射性物質が発生する確率は50%、つまり箱の中の猫が生きているか死んでいるかはそれぞれ50%の確率となります。そしてここでは猫が生きている状態と死んでいる状態が重なり合っている、と解釈するわけです。
1時間経った時点で、すでに猫が生きているかどうかは決定されているとするか、箱を開けて観測するまでは決定されてはいないとするか、はてさてどちらでしょう?というパラドックスについての問いかけですね。
この問いに関しても描かれています。私自身は、「世界」は主観的であり、それに伴う「世界」の"事象"も認識できるのは主観に関わる事のみであるので、観測した瞬間に決定されると考えました。

さてあと一つ、「マクスウェルの悪魔」について。スコットランドの物理学者ジェームズ・クラーク・マクスウェルが提唱した思考実験なのですが、"熱エネルギーは必ず熱い方から冷たい方に流れる"という熱力学第二法則を覆す存在です。物凄くざっくりと説明すると、窓の付いた壁で仕切られた二つの部屋があって、その窓を開閉して分子を誘導する存在がいたら、勝手に熱い部屋、冷たい部屋が出来るじゃないか!といった話です(もちろん、この窓を開閉したりする分のエネルギーは無視できるものとしますが)。
この「マクスウェルの悪魔」がいると、エントロピーが増大しない(つまり、時間経過によって物質が変化しない)ため、物質の永遠性が保たれる・・・といった話になっていくわけです。

これらの話を踏まえておくと、非常に理解が早くなっていくと思います。ですが、私も未熟であり、解釈に間違いがあったり、この説明が正しくないといったこともあるので話半分で聞いておいて詳しくは自分で調べていただきたく思います。

また、勿論こういった難しい用語についてばかりでなく、哲学的要素やメタフィクション的要素等様々な言葉によっても構成されていますので、Playしていて心に残った台詞についても述べようかなと。
存在するとは、知覚されることだ。
私は認めない。我々は選べるはずだ。
言葉は神である。神は言葉で意味を与える事により、世界は生まれた。
全てのものはこれによって生まれ、それによらないものは一切ないのである。

他にも多くの哲学者の言葉や難しい用語も出てきますが、実際にPlayして確かめてみてください。

考えさせられるGameが好きであったり、哲学的だったり小難しかったりする話が好きならばお勧めします。ですが人を選ぶ文章ということは把握しておくべきだと思います。そしてPlayして私に教えてください・・・。


追記機能を使ってネタバレを含むことももう少し書こうと思ったのですが、今ひとつ使い方がわからなかったので反転を使ってごまかしておくことにします。
さて、ネタバレも含めて少し書いておきましょう。と言ったものの、理解しきれておらずまた上手く表現できないということで稚拙な文章になってしまうことは否めませんがお許しください。

まず樹の父である七枷電卓がシンクロトロン棟の実験室で行っていた実験は、世界の「観測者」であり「決定者」を作るための実験であったと私は思いました。特異点・・・つまりブラックホールを七枷家を中心として作り、重なり合った世界を樹が観測して「決定」させる、といった具合でしょうか。
琴子が存在する理由は、「一人の狂った人間の妄執が生んだ物理現象」と片づけられていましたが、娘を失うという「世界」に絶望した電卓が、「世界」に属する自分を否定したがために物語が始まったと思うと電卓氏の琴子を思う気持ちは本物であったと感動します。普段はちゃらんぽらんですが。
因みに特異点を発生させるための質量は余剰次元から持ってきたと思われますね。さすがにぶっ飛びすぎかと思いましたが・・・。
結衣の能力である「マクスウェルの悪魔」で、結衣の主観世界に遅い分子のみを残して、早い分子はどこかに飛ばせるでしょうからそれを利用した、と考えると自然ではあります。一応ね。

"観測者"であり"神"である存在。それを作り出すことにより世界の外側から思うがままに世界に干渉できるかもしれない。
では、始めよう。
ほんの気まぐれな思いつきで、鼻歌混じりに創造しよう。
神話や聖書の神がそうしたように……。
私の『世界』を創ってやろうじゃないか。

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