2023年4月30日日曜日
さらざんまい
DEAR FUTURE
・こどもブロイラー
初見の時は実際に作中に存在する施設かとばかり思っていました。
しかし見返してみるとモチーフだろうと結論づけました。
親のエゴで子供の存在を殺し親の都合のいいように操っている人たちや、個性を均一化し自我を殺す国の教育システムそのものなどを表しているのかと。
親に「選ばれなかった」=愛を注いでもらえず「透明になった」子供が行き着く場所、なのかなと。
として育ち、また母親が宗教にかなりのめり込んでおりほぼネグレクト状態だったという境遇もあり、特にしょうまにかなり感情移入してしまいました。
・宗教2世
作中での組織は「宗教組織」とは明確にされてなかったものの、明らかにオウム真理教を意識されていますね。
元々サリン事件やオウム真理教の教義、主犯である麻原の生い立ちから国家転覆を狙うに至った経緯などについて興味がありいろいろと書籍等は読み漁っていましたが、本記事では流石に割愛しようと思います。
また、引用元である銀河鉄道の夜と同様に、キリスト教や三位一体の概念などを扱ってるのではと感じました。
・箱とシュレディンガーの猫
2010年代のオタクが大好きなシュレディンガーの猫、本作品にもありました。(初回は気づかなかった…)(2012年の私も例に漏れず嬉々としてシュレディンガーの猫についての記事を書いていました...。)
不確定な観測結果を変え運命の書き換えを行う・・・量子力学論からの考察もできそうなのでまた見返すかもしれません。深い作品。
・ピングドラムとは何なのか?
明確な答えが提示されていないので、見る人によって解釈が変わってくるかと思います。自分は、『自己犠牲も厭わないほどの無償の愛を相手に分け与える気持ち』こそがピングドラムで、モノとしてのモチーフがリンゴである、と受け取りました。また、キリスト教義で言うなら林檎=原罪とも取れますね。
禁断の林檎を食べた人類にとって生きる事は罰であり、生きている限り「運命」という理不尽な概念に人は襲われ続ける。
無償の愛である"ピングドラム"を分け与える「愛の循環」により人は「生存戦略」を行い、「透明な存在」からの脱却を目指す。
「運命の果実」を一緒に食べ、人から人へ、受け渡し、分かち合う。
生まれた時点で罰という名の理不尽な運命を背負った子。
親の一方的な押し付けにより「透明になった」子。
救うのは前世代の運命。
襲うのは前世代の怨念。
そして、運命の至る場所へ。
――――「生存戦略、しましょうか。」